経営者・平清盛の失敗 感想

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?女子大生会計士の事件簿を書いた山田 真哉さんが平家の興亡を経済、経営の側面から解説した本です。

 

経営者平清盛の失敗

山田氏の著作を読んだ方は知ってるかと思いますが著者プロフィールには歴史家志望だったと書いてあります。

本業である会計士の立場から平家の栄枯盛衰が論じられています。

宋貿易の独占

清盛の父平忠盛は朝廷に唐物を献上することによって、博多の国司に任命されます。

忠盛の権勢を引き継いだ清盛は瀬戸内海の航路を開拓に成功。

それで宋からの輸入業を独占して、富を築き上げていきます。

清盛は当時の宋の通貨であった宋銭に目をつけて、国内に流通させることに成功。

国内通貨の供給源を握った清盛は権力を手中に収めることになります。

当時の宋銭が銅で出来ていたこと、また、宋銭を溶かせば、銅製の仏具などに転用できること、要するにお金として使えなくても、銅製の道具に転用できるメリットを利用して宋銭を流通させるところがすごいです。

お金の役割を知り尽くしている会計士ならでは解釈、説明が面白い。

 

宋銭を流通させることに成功した平家ですが、それまで、貨幣の役割を担っていた絹・米がその価値を失って、それらの生産基盤である荘園を運営していた、貴族、武士の生活は大打撃を被ることになります。

これが、平家への不満につながっていくのですね。

 

百錬抄 銭の病から見る平家の栄枯盛衰

百錬抄』(ひゃくれんしょう)は、公家の日記などの諸記録を抜粋・編集した歴史書。鎌倉時代後期の13世紀末頃に成立したとみられる。編著者は不詳。百練抄とも書く。書名は唐の詩人白居易の「百練鏡」に由来すると考えられ、当初は「練」の字が用いられていたが、江戸時代以後に「錬」の字が用いられるようになった。

wikipediaより
百錬抄に1179年に銭の病が流行るとの記述があり、著者はこれを飢饉によるインフレーションであると解釈しています。

飢饉によって、極端なもの不足になり、物価が極端に上がって、宋銭の価値が下がります。宋銭によって権力を握った平家は一気にその寄る辺を失い、また貴族や他の武士の不満が噴出して、滅亡への道を歩んでいきます。

 

どのようにすれば儲かるのか、経営者としての清盛のやり方は儲かる法則に適合していたのか、会計士ならではの説明で分かりやすかった。

著者の小説や会計の本など読んだことはありましたが、歴史の本も面白いので是非また歴史の本も執筆して欲しいです。

 

 

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