宮部みゆきの小暮写真館読んでみました。
小暮写眞館(上) (講談社文庫)
講談社では上下巻、新潮社では4巻で出版されていますね。
宮部みゆきが「殺人はもう書きたくない」と書いた小説で、ミステリーもののと違ってスリリングな展開はないけれど、ゆるく読んでいける展開ですね。
結末が気になって夜中まで読んではいないけれど、続きが気になってついつい先を読んでしまった。
次々持ち込まれる心霊写真
主人公、花菱英一が父親の気まぐれで元写真館の古家に引っ越すのだけれでも、写真屋と勘違いされて、次々と心霊写真を持ち込まれて、解決を迫られます。
人がよくて気になったことは調べてしまう主人公の英一が友達のテンコ、弟のピカ、色黒で気さくな女子のコゲパンとともに、写真の謎を解決していく話です。
写真の裏に隠されてる問題
心霊写真にまつわって幽霊が出てくるとかそんな話ではないです。
明快に写真トリックとあばくとかそんな話でもなくて、写真の謎を追っている間に相談者が抱えている問題に行き当たります。
相談者は英一たちの心霊写真調査がきっかけで、目をそらしている問題を直視するようになり、立ち止まっていた足を次に向けて歩ませるといった内容でした。
主人公の英一がある一点に限ってすごい能力と持っているとか、とてつもない推理力をもっているとかではないです。金田一少年のようではないです(^^;;
むしろ持ち前の粘り強さで丁寧に丁寧に調べていきます。非凡でないところがいい。
桜ほうさらに近いです。
最後には主人公一家の問題へ
一人一人の問題がそれぞれ解決されていき、最後には弟ピカがきっかけで、主人公たち花菱家が封印してきた問題に向き合っていきます。
花菱家は朗らかで周囲からも愛される存在なんだけれども、幼くして亡くなった英一の妹、風子にそれぞれ傷を抱えています。
風子のことで親戚ともギクシャクしているのですが、弟ピカがきっかけで英一が風子のことに向き合うことになっています。
最後には主人公の問題に向き合う展開です。
また、序盤から、垣本順子というなんとも世の中を斜めに見ている冷めきった、不動産屋の事務員が出てくるのですが、彼女が英一の背中を押す役割を担っていていい味出してますね。
途中、ちょっと理解しえない奇行をするのだけれでも、壮絶な過去を抱えていて、彼女も最後には自分の問題に向き合っていくことになります。
最近の宮部みゆきの小説はストーリの展開も面白くて、読後も感覚も好きなので、また他の小説も読んでみようと思います。
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